宇野ゆうかの備忘録

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相手の親に聞こえるように「あんな小さい子に虐待して…」と言ってはいけない理由

 

togetter.com

 

ある親御さんが、赤ちゃんの足の蒙古斑から虐待を疑われたことで、お尻以外のところにできる蒙古斑についての理解を呼びかけています。

私は、このTweetを読んで、違う角度から気になることがありました。それは、おばちゃん達が、相手の親に聞こえるように「あんな小さい子に虐待して…」と言っていたこと。これは、仮に本当に虐待だった場合、子供を危険に晒してしまう可能性があります。

 

虐待が疑われる場合には、「虐待を疑っている」ということを相手の親に知らせないようにする必要があります。虐待する人は、世間体を気にする傾向があるので、もし相手の親が本当に虐待をしていた場合、後で子供に対して「あんたのせいで、私が虐待していると言われた!どうしてくれる!」という感情をぶつけたり、虐待が気付かれないよう、見えないところを殴るようになるなど、より巧妙に虐待するようになる可能性が高いからです。

虐待が疑われる場合は、基本的に「誘拐犯かもしれない場合」と同じように考えたほうがいいです。まだ被害者の身の安全が確保できていない段階で、犯人に「誘拐犯だと疑っている」と知らせてしまったら、被害者に身の危険が及びかねませんよね。黙って通報です。

 

“そして4つ目は、虐待の加害者に対して、周りの人間が虐待を疑っていると言ってはいけないということです。たとえば、身体的虐待の場合、加害者に対して『●●君があなたに殴られたって言ってるけど殴りました?』と聞く人は意外と多い。

このように聞かれた加害者は、虐待をやめるどころか、バレないようにもっとやるんです。通告して調査が進んで、子どもの安全確保ができる段階になるまで、虐待が疑われていることを加害者に知らせてはいけません」”

性的虐待を受けた子どもの話をどのように聞くべきか? 専門家が語る4つのポイント - 弁護士ドットコム

 

千葉の小4女児虐待死事件で、市教育委員会の人が、虐待していた父親に凄まれて、子供が虐待を訴え出たアンケートコピーを渡してしまったということがありましたね。私は、その教育委員会の人は、「普通」の感覚だったんだろうな、と思いました。

取り返しのつかない状況になった後から考えれば、この対応は最悪だったと理解できるでしょう。しかし、子供が虐待を訴え出たということを親に伝えることが、子供の身を危険に晒す行為だということを、理解していない人は案外多いです。

また、既に子供が亡くなってしまったケースでは、「なんてひどい親なんだ!」と言う人は多いのですが、まだ子供が生きている、あるいは、かつて虐待を受けていて生き残っているケースに対しては、「そうは言っても親なんでしょ(だからそこまで酷いことをするはずがない)」という思考回路になる人は、とても多いです。虐待を受けて生き残った人たちは、自らの経験を語った時、そういうふうに言われて被害を矮小化されるのは、よくあることです。

 

もちろん、子供を守る立場の人が「普通」の感覚でいてはいけません。ここで言う「普通」とは、「素人同然」ということですから。

ただ、子供を守るのは、児童相談所教育委員会の人たちだけがやることではないので、素人の大人たちも、相手の親に対して「虐待を疑っている」ということを知らせてはいけないこと、生きている虐待被害者に対しては、「そうは言っても親子なんでしょ」という認識が働きがちなことについて、知っておいたほうが良いなと思いました。