宇野ゆうかの備忘録

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私が作った夕飯をぶちまけたくなった時の話

togetter.com

これについて、ブコメ

パートナーがご飯作ってるとわかっていながら連絡を怠るのは、飲食店に予約入れておいてキャンセルの連絡入れないのと同じ。この場合、食べ物を無駄にしているのは、連絡を怠ったほう。

と言ったところ、

id:mil10 id:yuhka-uno 家庭の場合、冷蔵庫使いませんか?私ならラップして冷蔵庫にいれますが。飲食店と違ってね。あとぶちまける必要は無いですよね。。。。

id:mil10さんからこんなidコールを頂いたので、返答を書いておこうと思うのですが、その前に、過去、私が作った夕飯をぶちまけようかと思った時のことを書こうと思います。先に言っておきますが、長いです。

 

私が育った家庭は、両親共働きだったので、父と母が夕飯を作っていました。たまにどちらかが仕事で夕飯を作れない時は、私が代わりに夕飯を作りました。私は長子なので、弟たちの面倒を見る役割になっていたのです。
我が家のルールでは、ご飯作った人が「ご飯できたよー」と言ったら、子供たちは皿を用意しておかずを盛り付けて茶碗にご飯を盛って配膳をしなければならない。その間、ご飯作った人は調理器具を洗って片付けることになっています。これ、子供たち、父の場合はすぐやるけど、母の場合はすぐやらないんですね。父のほうが怒ると怖いから。で、姉の私の場合だと、弟たちはもっとやらないわけです。姉ちゃんは一番怖くないからです。

ある時、父の仕事が忙しくて、しばらく姉ちゃんにご飯作り代わってもらわないといけない、という事態が発生しました。私は了承して、がんばってご飯を作っていたわけですが、弟たちが全く手伝わないわけです。これは、姉ちゃんは怖くないからナメていることだけが原因ではありません。特に母は、普段から私と弟との扱いに差を付け、私には家事をさせるが弟には全く覚えさせないということをしていたので、弟たちには、家庭運営に対する責任感というものが全く育っていなかったのです。だから、「お父さん仕事忙しいんだし、ちゃんとやらないと」と思っているのは私だけで、弟たちは全くそういう意識がないのですね。
で、弟たちは、私が「ご飯できたよー」と言っても、我が家の配膳ルールを守る気配が全くない。この時、弟たちは中学生か高校生です。幼児ではないのです。こういう時、弟たちに対して、きつく怒ると逆ギレするということはわかっていたので、優しく「もうご飯やから、用意してねー」と言うわけですが、私は内心、はらわた煮えくり返っていました。「いつになったら用意してくれるんだろうなー」と思ってそのまま見ていたら、私が作り終わったのが8時で、そのまま10時になっていたりしました。

こういうことが10回くらい続いて、10回目でとうとう私はブチ切れて、「もう嫌や!もう二度と作らへん!」と言いました。その時はたまたま母がいた時だったのですが、なんと、母は、まず私のところへ来て、「あんなー、あんた、ちょっとは協力してくれたってええんちゃう?お父さんもお母さんも働いてんねんでー」と言ったのです。私は当然、「なんで私が言われなあかんの!私は10回サボらずにちゃんとご飯作った!あいつらは10回ともサボってんねんで!」と言いました。それでやっと、母は弟のところへ行って、弟に手伝うように言ったのです。

弟がこういう態度を取る度、私は何度も、作った料理をフライパンごとベランダの外へぶちまけたい衝動にかられました。なんでこんなやつらのために、晩飯を作らないといけないんだ?と。だから私は、あの夕飯を台所のシンクにぶちまけた妻に対して「食べ物を粗末にするな」と言う人たちには、「所詮、夕飯をぶちまけたい衝動にかられたことのない人間が、知ったような口をきくな」と思ってしまうわけです。

あと、当時はまだ未成年だったので、夕飯に間に合わないほど帰りが遅くなるということはなかったのですが、もし父が夕飯当番だった日に、外で食べるのに連絡を怠るなどということをしたら、後でめっちゃ不機嫌になった父に怒られるということはわかりきっているので、怖くてできないですね。ということは、要するに、相手が妻だからナメてるんだと思います。当時の私の弟たちと一緒ですね。

 

Togetterエントリのほうでは、妻の行為について「感情的」というコメントがちらほらついていますね。当時の私が感情的だったのかというと、まぁ感情的になっていたのかもしれませんが、対して、母や弟たちは「冷静」だったのでしょうか。私は、当時の彼らは、単純に、ものすごく「鈍感」だったのだと思います。

「鈍感さ」と「冷静さ」を混同してはいけません。感情的な人と鈍感な人とでは、感情的な人のほうが目立つので、ついついそちらに口出ししたくなってしまうのかもしれませんが、「鈍感さ」というのはかなり厄介なものです。他人を踏みつけにしているのに、それに全く気づいていない。あまつさえ、本人は自分のことを「冷静で理性的」だなんて勘違いをしていることすらあるのです。

 

さて、id:mil10さんからの問いかけについてですが、私の考えとしては、「ぶちまける必要、ある時はあるんじゃないですか?」です。元記事の夫婦の事情は知りません。ですが、一般に「ぶちまける必要はあるのか」という問に対しての答えは、「ある時は、ある」です。
まぁ一度や二度なら、ラップして冷蔵庫に入れておきますよね。しかし、それが何度も続いたらどうでしょう。いくら「連絡して」と言っても、相手が何度も怠る場合は、口で言う以外の方法を取る必要がありますよね。つまり「可視化」です。鈍感な人は、ああでもしないと、永遠に、自分のせいで食材のロスが発生しているということや、料理担当者が本当にうんざりしているということに、気づかないこともあるでしょう。
あと、疑問なのですが、冷蔵庫にしまっておいた食事は、その後、誰が食べるのでしょうか。夫ならまだマシと言えるかもしれませんが、「俺はもういらないから、食べておいて」なんてことになったりしないでしょうか。それが有効だと思っている人は、例えば、あなたが誰かと一緒に食事に行ったとして、その人が明らかに食べきれない量の食事を注文して、結局食べられなくて、「残すのもったいないから、あなた、食べてよ」と言われた時、どういう気分になるかを想像してみて下さい。妻は夫の残飯処理係ではないのです。

こういう、食べ物を粗末にしているのは自分自身なのに、残飯処理を他の人にやってもらっているので、自分にはその意識がない人について、今回のケースとはまた別の形ですが、過去にも書いたことがあります。

d.hatena.ne.jp

 

ブコメにも書きましたが、パートナーがご飯作ってるとわかっていながら連絡を怠るのは、飲食店に予約入れておいてキャンセルの連絡入れないのと同じです。この場合、食べ物を無駄にしているのは、連絡を怠ったほうです。

最近けっこう話題になってますよね。予約入れておいてキャンセル連絡入れない客。あれは、食べ物が無駄になるばかりでなく、作った人の手間を何だと思ってるんだ?という問題でもあります。連絡を怠る夫は、妻の手間なんか何とも思ってない、ということなんです。妻が怒る理由は第一にここだと思います。元のTogetterエントリを見るに、世の中、食べ物を粗末にすることには敏感でも、他人の手間を粗末にすることについては鈍感な人が多いんですね。だからサービス残業ブラック企業が横行するんでしょうか。

まぁ色んな事情で、やむにやまれず連絡できないという時もあるでしょうが、そういうわけでもないのに、ドタキャンしておいて何とも思わないのはいけませんよね。

 

追記

ちなみに、当時、私が弟たちに優しく「もうご飯やから、用意してねー」と言っていた理由は、これと同じです。繰り返しますが、弟たちは当時、中学生か高校生くらいでした。